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2019/02/25 Mon

「東京の カエルについて かんガエル」講演会

パンフレットが素敵カエル講演会行ってきました。非常に内容が濃くて面白く、二時間半があっという間でした。スライドの撮影OKなのはありがたかったです。

結構直前まで募集していたので、もしかして参加者少ないのかと思っていたら当日はほぼ満席。皆さん真剣にメモを取ったり撮影したり質疑応答にも積極的で、興味関心の高さが伺えました。

最初の講演は「都立動物園・水族園が行っている両生類の保全活動」
講師は水族園の飼育展示係、中沢純一さん。約20分のお話でした。

両生類が世界的に減少し、特に東京都では多くの種が絶滅危惧ということで、上野・多摩・葛西・井の頭の都立4園は、2007年に両生類保全ワーキンググループを発足、飼育下における繁殖技術の確立を目指しているそうです。きっかけとなったカエルツボカビ騒動は結局日本の両生類には影響なかったけれど、今後何が起こるかわかりませんからね。

保全対象は東京産両生類11種(トウキョウサンショウウオ、アカハライモリ、アズマヒキガエル、ニホンアマガエル、ニホンアカガエル、ヤマアカガエル、ツチガエル、トウキョウダルマガエル、シュレーゲルアオガエル、モリアオガエル、カジカガエル)。指定した産地で採集した個体を遺伝的に混じり合わないように管理、病気を持ち込まないよう専用の施設で飼育しているとのこと。

展示がなくても数多く飼育されてます動物園や水族館の「身近な生き物コーナー」って隅っこにあって片手間に飼育されているような印象でしたが、そんなことはないんですね。

現在は、アカハラ、アズマヒキ、ニホンアカ、ヤマアカ、ツチガエルの5種が毎年繁殖。その他も断続的に繁殖したり、東京産はダメでも他地域産のものが繁殖したりしているそうです。

ちなみに、水族園で展示しているヒキガエルの一部はアズマとニホンの交雑種。でもきちんと識別していて、4園で保全しているのは多摩動物公園産の純粋なアズマヒキガエルだそうです。

2つめの講演は「東京のヒキガエルとオタマジャクシの社会」
講師は総合研究大学院大学の長谷和子さん。ヒキガエル愛に溢れた可愛らしい方で、約1時間じっくり語っていただきました。

5章に分けてお話ニホンヒキとアズマヒキの分岐はかなり古い

最初の話はヒキガエルの概要。他のカエルとの違い、日本のヒキガエルの種類、アズマヒキとニホンヒキの違いについて。世界のヒキガエルを紹介しながら「私にはみんなすごく可愛く見える」という言葉には、わかりみ〜。

ほとんどがニホンヒキの遺伝子次の話は東京のヒキガエルについて。本来はアズマヒキの生息域ですが、人為的に持ち込まれたニホンヒキとの交雑が進み、現在では遺伝子的にも形態的にもニホンヒキガエル型が優性だとか。交雑しているのは知っていましたが、ほぼニホンヒキに入れ替わってしまった状態なのは驚きでした。

東京のオタマジャクシは他地域の純アズマヒキのオタマに比べて、生存率がかなり高かったそうです。ニホンヒキのオタマも生存率が高かったが、サンプルが少なくてたまたま元気なものだった可能性もあるとのこと。西日本の都会では東京以上にヒキガエルが減っているようですし、ニホンヒキがアズマヒキより特別強いわけでもなさそうですものね。

孤立した個体群は絶滅しやすい、強いものだけが生き残った都市化でアズマヒキ生息域が分断して遺伝子交流が減り、適応度が下がってきたところへ、比較的丈夫な(?)ニホンヒキが移入して交雑。更に急速に都市化が進んで生息域が分断・縮小・孤立化。絶滅の渦に巻き込まれていく中で、強いものだけが頑張って生き残った結果、ニホンヒキ型が増えた、というようなお話でした。


3つめは繁殖の話。ヒキガエルの雄雌比は1:1ですが、繁殖への出席率はオスの方が数倍多いため、メスを取り合うカエル合戦になります。長谷さんが撮影した動画を流す時、「あまり見たくない人もいるのかな」と心配されていましたが、ここに来てる人は大丈夫でしょ〜。

体の大きさが近いオスとメスがペアになるので、お似合いのカップルが成立しやすいんだとか。体外受精なので、1本の卵紐に複数の父親がいることがあり、特に小さな池で混雑しているとチャンスが多いそう。ペアになれなくても諦めず周りで頑張ってた方がいいんですね。

4つめはオタマジャクシの習性の話。オタマは群れることで協力して身を守る、餌を見つける、体温を上げるなどしています。ヤマアカガエルのオタマは自分の兄弟がわかるらしく、大きなオタマは小さな兄弟に近づかず、兄弟同士の競争を避けているんだそうです。面白いわあ。

頑張ってきたヒキガエルたちもここ数年で減ってしまった最後はここ数年で急激にヒキガエルが減っているというお話。開発に加えてウシガエルやアライグマが侵入しているところでは次々と姿を消しているそうです。研究者が研究した場所はいなくなるというジンクスもあって、有名な金沢城だけでなく、以前紹介した本にある自然教育園でも最近絶滅してしまったそうでびっくり。自然豊かに見える場所でも安心できないのですね。

講演後は講師のお二人への質問の時間。こちらも負けず劣らず濃い内容でした。

「道ばたでヒキガエルを拾ったらどこに放してやればいいか」という質問へのお二人の答えは「自分で歩いてきたものはそのままにしておくのが基本。車に轢かれたり干からびてしまいそうなら、すぐ近くの日陰などに移してあげる」。環境が良くても離れた場所は遺伝的に混ざってしまうのでよくないということです。長谷さんの「(ヒキガエルは)堂々と道路を歩いてらっしゃいますね」という発言には和みました〜。

「動物園・水族園で繁殖させたものを野外に放すという展望はあるのか、遺伝子汚染の問題は?」という質問への中沢さんの答えは「今のところ具体的には考えていない。もしもの時に備えて遺伝的に混じりがないよう飼育しているが、自然に生き残ったものと競争相手になってしまう可能性もあり、放すのは慎重になる。それよりも、飼育下で繁殖させる技術を生息域での保全に繋げていきたい」とのこと。

その後は長谷さんによる遺伝子汚染の話になりました。重要なのは「一度起こった遺伝的撹乱はもう元には戻らない」ということ。長谷さんは生物学者として「戻したいと思ってもできない。だからこそ人間の手で持ち込まないでほしい」と訴えます。またひとりの人間としては、東京のヒキガエルはこの混ざり合った状態でもうこれでいい、とおっしゃいます。浄化しようなどと考えたら、今いるヒキガエルを全滅させることになってしまいますものね。

他にも興味深い話題は数多くありましたが、きりがないのでこの辺で。

東京ズーネットのページにチラシPDFダウンロードと講演内容の要旨があります。
>>2/23 都立動物園・水族園合同企画 身近な水辺保全講演会 第1回「東京の カエルについて かんガエル」

第2回の講演会は井の頭自然文化園で、アカハライモリ特集だそうです。
>>3/16 都立動物園・水族園合同企画 身近な水辺保全講演会 第2回「イモリを調べる・イモリを守る」

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コメント

水族園内部のモップを洗濯してた時

ふと足元に巨大なヒキガエルさんがいました・・・

園の係員によると しょつちゅういるらしいです。

> 初心者28号さん

ここ数年で臨海公園のヒキガエルも激減してしまったそうなので、今はもう見られない光景なのかもしれませんね。

垂涎もの!!

あねもねさん、こんにちは。
読み応えのある記事をありがとうございます。いいなぁ、東京。近ければ万難排して参加しています(笑)
このチラシもすごくセンス良くて、モデルのヒキさんの美人なこと❤️

いろいろ考えさせられてしまいました。
関西に住む私の近所の山でも、もう5年以上ヒキの姿をみかけていません。以前は夜に散歩したら結構な確率で会えたのに。

今年はほとんど霜を見ない冬になりました。2月にウグイスが完璧に鳴いています。
環境変化はどうしようもないのかなぁと悲しい気持ちになりますが、カエル合戦の季節、がんばってたくさんの命に生き伸びて欲しいです。

> チロリさん

うちからも2時間くらい掛かるので迷ったのですが、行って良かったです!
これは絶対にまとめておきたいと思って、録音したのを何度も聞き返して記事にしました。

このチラシ、モデルもデザインも本当に素敵ですよね。
厚手の紙で端の方を折り返していて、PDFで見た時も良かったけれど実物はそれ以上でした。

きみちゃんの故郷でも、去年は卵もオタマも確認できませんでした。
今年はまだこれからだと思うけど、どうでしょうか。
みんな頑張って欲しいですよね。
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