
2年前、小さなプランターにブロッコリーの種を蒔きました。夏は青虫に囓られ、冬は小鳥に葉をむしられて、ほんの数株しか残りませんでしたが、去年の春にはきれいな花を咲かせました。
その後枯れてしまうのかと思っていたら元気に葉を茂らせて、夏にはモンシロチョウの青虫がたくさん付きました。小さいのはちびガエルだったきみちゃんに、大きいのはぴょんちゃんに。ぴょんちゃんが食べ残した青虫が逃走して室内で蛹になり、無事に羽化したのは
去年ブログに書いた通りです。

外に残した青虫も一部は蛹になりましたが、鳥に見つかったのかむしり取られたようになくなっていました。無事に蝶になるのはなかなか難しいようですね。
ブロッコリーは秋になると葉を落とし、ごつごつした茎だけになって2度目の冬を越しました。今年の春は花芽が出てたくさんの花を咲かせましたが、葉っぱはほとんど出てきません。そこにまたモンシロチョウが卵を産み付けて、わずかな葉っぱが青虫に囓られていきました。
このままでは青虫が大きくなる前に丸坊主です。そこで青虫は家で飼うことに。育ちが悪いのはヒキガエルのおやつに、残りはチョウチョになればいいな、と思って。



10匹のうち、一番小さかったものは間もなく死んでしまいました。1匹は肩のところに傷があり、不安だったので早めにカエルの餌に。残りの8匹は特に見た目に問題なく、すくすくと育っていきました。
青虫たちは約3cmになると餌を食べなくなり、プラケの壁を登り始めました。蛹になるのね、と思いましたが、ちょっと違和感が。
モンシロ青虫の飼育は今回初めてですが、アゲハ幼虫を何度か蝶にしたことがあります。幼虫は終齢になるとそれまでとは段違いに大量の葉っぱを消費しました。ところが今回の青虫たちは最後の方、あまり食べていないような気がするのです。

上に登ってきた青虫は、以前きみちゃんが住んでいた大プラケに移しました。しばらくうろうろしてからプラケ壁の途中で動かなくなりますが、翌日になっても幼虫の姿のままで糸を掛ける様子がありません。
見た目は本当に普通なんです。色もきれいな黄緑色。透かしてみても影など特に見えません。
ところが、しばらくしてふと見ると……!



うあああ〜!!
小さな幼虫がうじゃうじゃ出てきてるじゃないですか。アオムシコマユバチに寄生されていたのですね。全然わからなかった〜。
同じ頃に壁に登った他の青虫をよく見ると、皮膚の表面が少し凸凹に変化しています。ハチの幼虫がうごめいているようです。慌ててこちらはカエルに食べさせました。


その後も続々と青虫が壁を登りました。蛹になったのは1匹だけ、残りは全て寄生されていたようです。
寄生された青虫を見分けるポイントとして、今回観察してわかったのは、
- 終齢になって間もなくほとんど餌を食べずに壁を登り始める
- 蛹化せずいつまでも幼虫のままでいる
の2点です。更に、蜂の子が出てくる直前には表面がかなりいびつになります。
なお、青虫の背中に2つの黒い影が見えたものもありましたが、調べてみるとこれはオスの精巣で寄生蜂とは無関係のようです。見た目だけでは、ぎりぎりまで区別が付きませんでした。
ちなみに、蜂の子が出た後も青虫はまだ生きてるんです! 蜂の子を取り除いた青虫をカエルたちの目の前に置くとのろのろと歩き出し、きみちゃんが食べてくれました。栄養分はほとんどハチに取られてしまっているのでしょうけどね。
無事に蛹になれた1匹の青虫は、3cm過ぎても食欲が衰えず、他の幼虫より若干大きめに育ちました。夕方に壁に登ると翌朝には糸を掛けてずんぐりした前蛹の姿に。午後には蛹になっていました。





蛹はその後、周りの色に合わせたのか茶色っぽく変化。一週間後、深夜に羽の模様がくっきりと現れ、翌朝気付いた時にはもう羽化していました。
去年はたまたま逃げ出した1匹が寄生もされてなくて、羽化の様子も見られて……。これって今にして思えばすごくラッキーだったのですね。


この日は雨降りだったのでしばらく様子を見て、夕方に雨が上がってから蝶を外に逃がしました。

プランターを見ると、発芽したばかりのブロッコリーに5mm未満のモンシロ青虫たちが付いていました。そして、その近くには約3mmの小さなハチが……!
これがアオムシコマユバチの成虫。青虫がこんな小さなうちから狙っているんですね。
今回はどうしようかな。放っておいたらブロッコリーは食べ尽くされそうですが、ほぼ確実に寄生されている青虫を育てるのも何か嫌だなあ。
